防犯性の高い鍵がわからなくて困っていませんか?
玄関からの侵入手口として用いられる『ピッキング』は防犯性の低い鍵が狙われる傾向にあるため、対策を行うことがおすすめです。
ただ、どんな鍵を取り付けたらピッキングを防ぐことができるのかわからない方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、ピッキングを防ぐ防犯性の高い鍵をご紹介します。
ピッキングで鍵を開ける仕組み
空き巣などが住宅に侵入する手口として用いられるのが、『ピッキング』です。ピッキングは、鍵ではない『針金』や『耳かきのような形状の特殊な工具』などを使用して解錠します。
これらを鍵穴に差し込み、シリンダー(鍵穴)の内部にある『ピン』や『タンブラー』などの部品を動かすことで内筒を回し、開けることができます。
大きな音が鳴らないうえに、防犯性の低い鍵ならものの数分で室内に侵入することができるため、注意が必要です。
次の見出しからはピッキングがされにくい鍵、されやすい鍵をご紹介するので、現在取り付けられている鍵の防犯性を確認してみてください。
ピッキングされにくい鍵の特徴
玄関の防犯性を高めるために、ピッキングに強い鍵の取り付けを検討しているとき、実際にどんな種類の鍵を選んだらいいのか迷ってしまう方もいらっしゃると思います。
鍵穴が付いている以上、ピッキングが完全に不可能な鍵はなく、長い時間をかければ防犯性が高いといわれている鍵でも解錠できてしまう可能性があるため、『どれだけ侵入までに時間を稼げるか』が防犯性を上げる一つのポイントとなってきます。
空き巣などの侵入盗は住宅に侵入するまでに10分以上の時間がかかると諦めるというデータが発表されており、これを目安として『10分以上ピッキングに耐えられる鍵』は防犯性が高いといえるでしょう。
中でも『ディンプルキー』や『ロータリーディスクシリンダー』は、鍵の内部構造が複雑なため数分での解錠が難しく、侵入をあきらめさせる効果が期待できます。
それぞれの特徴については、次の見出しからご紹介するので是非チェックしてみてください。
ディンプルキー
ディンプルキーは、カギの表面・側面に複数の凹凸が開いている鍵の種類です。
主に外筒・内筒・ピンで構成されていて、正しい鍵を差し込むことで外筒と内筒の境界線(シアライン)が揃って解錠することができます。
ディンプルキーは、左右に加えて上や斜めなどさまざま方向から配列されているピンを一度にそろえる必要があるため、ピッキングが非常に難しいとされています。
また、製品によってはアンチピッキングピンを搭載していることで、さらにピッキング対策を行うことが可能です。
ロータリーディスクシリンダー
ロータリーディスクシリンダーはMIWAロックが製造するU9シリンダーで、廃盤となったディスクシリンダーの防犯性を強化した鍵の種類です。
内筒・外筒・切り欠きが付いたタンブラーの他に、ロッキングバーで構成されていています。正しい鍵を差し込むことでタンブラーすべての切り欠きが揃い、ロッキングバーが切り欠きにはめ込まれることで解錠することができます。
ピッキングするにはタンブラーをそろえる必要がありますが、感覚がつかみづらいうえにダミーが混ざっているタイプもあるためピッキングが非常に困難と言われています。
このように防犯性が高いロータリーディスクシリンダーですが、ディンプルキーに比べて価格が比較的安価なので取り入れやすいといったメリットがあります。
ピッキングされやすい鍵の特徴
最近ではピッキング耐性の高い鍵を使用している住宅が増えてきていますが、築年数の古い物件でずっと同じ鍵を使い続けているという場合は注意が必要です。
特に『ピンシリンダー』や『ディスクシリンダー』を使用している場合、ピッキングによる被害に遭う可能性が高くなるため、防犯性の高い鍵に交換を検討した方がいいでしょう。
次の見出しからはそれぞれの鍵の特徴をご紹介するので、ご自宅に設置してある鍵をチェックしてみてください。
ピンシリンダー
ピンシリンダーは、カギの片側のみにギザギザが付いている鍵の種類です。
主に外筒・内筒・一方向に設置されたドライバーピンとタンブラーピンで構成されていて、正しい鍵を差し込んでピンを押し上げ、内筒と外筒の境界線(シアライン)をそろえることで開錠できます。
ピッキングに慣れた常習犯であればものの数分で解錠できてしまうと言われており、今では住宅の玄関にはほとんど用いられておらず、ロッカーや机の引き出し、南京錠などで使用されています。
ただ、築年数の古い物件の中には今でもピンシリンダーが取り付けられていることもあるため、防犯性を高めるためには新しい鍵に交換することがおすすめです。
ディスクシリンダー
ディスクシリンダーはMIWAロックが製造していたシリンダーの種類で、カギの両側がギザギザしている、鍵穴がくの字の形をしているのが特徴です。
主に外筒・内筒・ディスクタンブラーで構成されていて、正しい鍵を差し込むことで外筒に引っかかったタンブラーが持ち上げられ、内筒と外筒の境界線(シアライン)にそろうことで解錠することができます。
発売当初は戸建て・マンション問わず日本全国に普及していましたが、空き巣集団によるピッキング被害が急増したことから、現在ではすべて廃盤品となっていてロータリーディスクシリンダーへと移行されています。
築年数の古い物件には今でも取り付けられていることがあるため、防犯性を高めるためにも下記のシリンダーを使用している場合は交換することをおすすめします。
- 【ピッキング被害に遭いやすいシリンダー】
- ・ECシリンダー
- ・UXシリンダー
- ・PXシリンダー
- ・URシリンダー
絶対にピッキングされない鍵とは?
ディンプルキーなどの防犯性の高い鍵でも『絶対にピッキングを防ぐ』というのは難しく、長い時間をかければ開けることができる場合もあります。
完全にピッキングが防げる鍵を取り付けたいという場合は、『電子錠』や暗証番号などで解錠する『キーレス錠』などを検討してみてください。
これらの鍵は基本的に鍵穴がついていないため、物理的にピッキングでの解錠を行うことができなくなります。
ただ、鍵の種類によってはピッキングができてしまったり、他の不正解錠方法を用いられる可能性もあるため必ず安心できるとは限りません。
一般的な鍵に比べると電子錠やキーレス錠は導入費用が高額になるため、こういったデメリットも事前に確認したうえで交換を行うようにしましょう。
電子錠やキーレス錠もピッキングできる製品がある
電子錠やキーレス錠でも、『非常解錠用のシリンダー』が付いている場合は、ピッキングされてしまう可能性があります。
非常用のシリンダーとは、万が一電池切れや動作不良が起こった場合に開閉を行うことができる鍵のことです。
普段はカバーなどで隠されていることが多いですが、カバーは簡単に外せてしまいます。
このように取り付ける電子錠・キーレス錠の種類によってはピッキングを完全に防ぐことができなくなってしまうため、取り付ける部品選びには十分注意しましょう。
ピッキングしなくても鍵を不正解錠される可能性あり
住宅への侵入手口はピッキングだけではありません。最近では鍵の防犯性が上がってピッキングが難しくなっていることで、『サムターン回し』や『錠前の破壊解錠』といった手口が用いられることもあります。
サムターン回しはドアスコープやドアポストを破壊して特殊な工具を差し込み、サムターン(室内側のツマミ)を回して解錠する手口です。
さらに錠前を無理やりドリルなどで破壊する手口や、バンプキーと呼ばれる特殊な鍵を差し込み鍵に衝撃を加えることで解錠される手口もあります。
こういった解錠手口には電子錠やピッキングに強い鍵へ交換するだけでは防ぐことができないので、次の見出しを参考にその他の防犯対策も併用して対策を行うことが必要です。
防犯対策を徹底したいならピッキング以外の対策も検討
上の見出しでもご紹介したように鍵の解錠手口はピッキングだけではないため、防犯対策といってもさまざまな手口に備えられる対策を行うことが必要です。
それぞれの手口を防ぐための対策は、下記の表を参考にしてみてください。
【手口別の防犯対策方法】
手口 | 対策方法 |
---|---|
バールを使ったこじ開け | ・こじ破り防止プレートの設置 |
サムターン回し |
・サムターンカバーの設置 ・防犯サムターンへの交換 |
バンピング | ・バンピングに強い鍵への交換 |
バールによるこじ破りはドアとドア枠の隙間にバールを差し込んで解錠する手口のため、隙間が空いている場合は専用の金属板を取付て塞いでおく方法が効果的です。
また、万が一工具が差し込まれてもサムターンが回せないようにカバーを取り付ける、防犯サムターンへ交換するといいでしょう。
防犯サムターンは『空転式』、『脱着式』、『スイッチ式』など、さまざまなものが販売されているので使いやすい物を選びましょう。
さらに専用の特殊な鍵を差し込んでピンを不正に動かすことで解錠するバンピングを防ぐには、バンピングに強い防犯性の高い鍵への交換がおすすめです。
防犯性の高い鍵に関しては次の見出しでご紹介しているので、バンピング対策を検討している場合は是非参考にしてみてはいかがでしょうか。
ピッキング・バンピングに強い防犯性の高い鍵一覧
『ピンシリンダー』、『ディスクシリンダー』などの古いタイプの鍵が取り付けられていると、ピッキングやバンピングで簡単に解錠することができてしまいます。
このような手口の被害に遭うことを防ぐためには、防犯性の高い鍵への交換が効果的です。
ここでは、ピッキング・バンピングに強い防犯性の高い鍵をご紹介します。
ピッキング・バンピングに強い鍵1.MIWA PRシリンダー
日本の大手鍵メーカーであるMIWAのPRシリンダーは独自の2WAYロータリータンブラーを使用した、ハイセキュリティシリンダーです。
すべてのタンブラーが同時にそろわないと回転しないロッキングバー、複雑な形状のアンチピッキングタンブラーを使用することで、ピッキングによる不正解錠に10分以上耐えることができます。
また耐鍵穴壊し性能はG1:5分未満、G2:5分以上、G3:10分以上の3グレードから選ぶことが可能です。
シリンダー内に複数の高硬度部品を使用することによって、ドリル攻撃に対する耐性も高いのが特徴です。
【MIWA PRシリンダーの特徴】
鍵違い数 | 1,000億通り |
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ピッキング耐性 | 10分以上 |
バンピング耐性 | G1~G3グレードあり |
ピッキング・バンピングに強い鍵2.Kaba star neo
kaba star neoは、ディンプルシリンダーキー開発のパイオニアであるKABAの高性能シリンダーです。
理論違い数は2兆2千億通りと膨大な数があるため、ピッキングによる解錠はほとんど不可能といわれています。
また、内蔵されているピンの硬度も高いため、鍵穴壊しによる解錠も防ぐことができます。
さらに鍵登録システムにより、登録者以外の第三者に鍵を複製されるのを防ぐことも可能です。
【kaba star neoシリンダーの特徴】
鍵違い数 | 2兆2千億通り |
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ピッキング耐性 | 10分以上 |
バンピング耐性 | 10分以上 |
ピッキング・バンピングに強い鍵3.GOAL V18シリンダー
米国UL防犯認定試験、CP認定試験によって防犯性が認定されたシリンダーです。
アンチピッキングピン、セクションピンによってピッキング道具の侵入を防ぐことで、ピッキングによる解錠を10分以上防ぐことができます。
焼入鋼製のセクションピンとドリリング防止板によって、ドリルによる破壊解錠にも耐えることができます。
また、セキュリティIDカードシステムによって、第三者による鍵の複製を防ぐことも可能です。
【GOAL V18シリンダーの特徴】
鍵違い数 | 120億通り |
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ピッキング耐性 | 10分以上 |
バンピング耐性 | 10分以上 |
ピッキングに強い防犯性の高い鍵に交換する費用
一般的な鍵に比べて防犯性が高い鍵は部品自体が高額なものも多いため、依頼する前に複数の業者から見積を取っておくと安心です。
特にピッキングや鍵穴壊しに対する耐性が10分以上の製品であったり、CP認定錠などは費用が高くなります。
防犯性は高めたいけどコストをできるだけ抑えたいという場合は、同じ製品でもグレードを少し下げることがおすすめです。
ここでは、ピッキングに強い防犯性の高い鍵に交換する費用についてご紹介します。
生活救急車で防犯性の高い鍵に交換した料金事例
防犯性の高い鍵への交換を鍵屋に依頼する場合、どのような製品を取り付けるかによって料金が変わってきます。
そのため、正確な料金に関しては現地でのお見積もりにてご案内しております。
ただ、依頼する前に大体の料金を知りたいという方もいらっしゃると思うので、ここでは生活救急車で実際に対応した防犯性の高い鍵への交換作業の費用事例をご紹介したいと思います。
防犯対策のための玄関鍵交換
玄関の鍵交換依頼で訪問しました。
防犯上の不安を感じることがあったとのことで、現状の鍵と別物に変えたいとのご意向でした。
同じ製品(GOAL V18)に交換施工させていただきました。
項目内容 | 料金(税込) |
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玄関ドアのシリンダー交換 | 11,000円 |
GOAL 部品代 | 16,500円 |
合計 | 27,500円 |
引越しに伴う鍵交換
引越しに伴う鍵交換のご依頼でした。すぐに交換できるシリンダーを数種類紹介いたしましたが、防犯性の高い鍵にしたいこととシリンダーの色を錠前と同じブラウンに統一したいとのご希望で、部品を取り寄せることになりました。
後日、MIWAのPRシリンダーに交換させていただきました。
項目内容 | 料金(税込) |
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玄関ドアシリンダー交換 | 11,000円 |
MIWA 部品代 | 24,200円 |
合計 | 35,200円 |
引越しに伴う玄関鍵交換
引越しに伴う玄関鍵交換のご依頼でした。GOAL LGにカバスターネオがついていました。
登録制のタイプですが、逆マスター合わせで製作してもらい交換いたしました。
項目内容 | 料金(税込) |
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玄関ドアシリンダー交換 | 11,000円 |
KABA 部品代 | 27,500円 |
KABA 部品代 | 3,300円 |
合計 | 41,800円 |
絶対にピッキングできない鍵ってどんな鍵?まとめ
今回は、絶対にピッキングできない鍵についてご紹介しました。
どれだけ防犯性の高い鍵でも鍵穴が付いていれば絶対にピッキングを防ぐということはできないため、ピッキングによる解錠をできるだけ長く防げる鍵を選ぶことがおすすめです。
防犯性の高い鍵といっても性能は製品によって異なるため、ピッキングや鍵穴壊し耐性が10分以上のものを選ぶといいでしょう。
生活救急車でも防犯性の高い鍵への交換作業を行っております。現地でのお見積もりから対応しておりますので、鍵交換をご検討されている場合はお気軽にご相談ください。